【無料講義】水理学①水圧基礎・発展
- 水理学:①水圧基礎・発展
- 重要度:★★★★★
- 難易度:★★☆☆☆
『水圧』の問題も出題頻度は高いです。
問題難易度としては、難しい問題と簡単な問題でムラがありますが、簡単な問題が多いです。また、ココが理解できてないと、他の分野や他の科目にも支障が出てしまうので、基礎はしっかりと固めておいて欲しいなと思います。
【水理学:①水圧基礎・発展】せんせいの専門土木速習講座
水圧の問題というのは、こういう問題ですね!
様々なタイプの問題がありますので、今回は色々なタイプの問題に触れていけたらと思っております✨
ポイント①:静水圧(水圧)の公式
『水圧(静水圧)』というのは、水の重さによる圧力のことです。水の重さですから、深ければ深いほど水圧は大きくなります。
水の密度をρ、重力加速度をgとすると、深さhの時の水圧Pの大きさは、『★P=ρgh』という式で表されます。
ポイント②:水圧の性質
次は、『水圧の性質』について、ポイントを紹介していきます。上記の3つのポイントは絶対に把握しておいてください。
水圧は、面に対して垂直に作用します。例えば、図のように、面が斜めだったとしても、面に垂直になるように水圧が作用します。
また、水圧は水面からの深さのみで決まるという点も重要です。同じ深さであれば、水圧の大きさは等しくなるので、例えば、面が斜めになったとしても、同一水平面上であれば、水圧の大きさ(P)は等しくなります。
ポイント③:傾斜した平面に加わる全水圧
では次は、『傾斜した平面に加わる水圧』の考え方について紹介していきます。
斜面に加わる全水圧Pは、『 P=ρgHGA 』という式で表されます。HGは断面の図心までの距離で、Aは断面積です。
そして、斜面部分の図心までの距離をLGとすると、HG=LGsinθという関係が成り立ちます。
ポイント④:ゲージ圧と絶対圧
『ゲージ圧』と『絶対圧』の考え方についても紹介させていただきます。
ゲージ圧というのは、大気圧を基準として表示する圧力のことで、絶対圧というのは、真空状態を基準として表示する圧力のことです。
⇒先ほど紹介した公式などは全て、ゲージ圧で示したものです。
そこで、水中のとある点の水圧について考える際には、本来、空気の重さと水の重さのどちらも考慮する必要があります。
ただ、毎回毎回大気圧を考慮していると面倒くさいので、私たちの普段の生活の中では、基本的に大気圧を基準として、色々な圧力を表示しています。なので、基本的には水理学の問題も『ゲージ圧』を使用します。問題文に『真空』を基準とするなどの表記がある場合は、絶対圧の考え方で問題を解いていってください。
ポイント⑤:テンター(ラジアル)ゲート(曲面に水圧が作用)
では、次は『テンターゲート』についてポイントを紹介していきます。
この手の曲面に働く問題が出たら、全水圧Pを、水平方向と鉛直方向に分けて考えていきます。
そこで、水平分力は、『 PX=ρgHGAS 』という式で表され、鉛直分力は、『 PY=ρgV 』という式で表されます。そして、三平方の定理より、『 P=√PX2+PY2 』という関係になります。
また、ASというのは、投影面積のことで、単純に緑の矢印の方向から見たときの断面の面積のことです。そして、HGが水面から投影図の図心までの距離のことです。
ということで、今回は例題を7問紹介します!
【水理学:①水圧基礎・発展】過去問を解いてみよう!
【例題①】過去問を解いてみよう!
先ほど紹介したこちらの問題を解いていきます。ちなみに、この問題は地方の試験で実際に出題された問題です。
【例題①】過去問の解説
まず、公式より、青色矢印の大きさは、それぞれ、6ρg、3ρgであることがわかります。
そして、三角形分布荷重の合力は、三角形部分の面積となるので、P1の方が、6ρg×6÷2×1で18ρg、P1の方が、3ρg×3÷2×1で4.5ρgになります。
ココで荷重の合力を計算すると、P1ーP2で、13.5ρgということで、右向きに力が加わっている状態となります。(※注意点なのですが、力が釣り合っているわけではないので、ココは気を付けて下さい。)
求めたい値である、作用位置までの距離をLと置くと、図Bのような状態になります。ここで、図Aと図Bの状態でのモーメントは等しいハズですから、MA=MBを計算すれば、L=2.33mということが分かります。
答えは『 ③ 2.33m 』ですね!
【例題②】過去問を解いてみよう!
では次の問題を解いていきます。こちらは国家一般職の試験で実際に出題された問題です。
【例題②】過去問の解説
まず、水圧分布を図示すると、こちらのように台形分布になります。台形の場合は、三角形部分と、四角形部分に分けて考えればOKです!
台形の上底が2ρgで、下底が5ρgになるので、三角形部分の青矢印は3ρgで、四角形部分の青矢印は2ρgになります。
この面積が力の大きさですから、それぞれ計算すると、P1が9ρg、P2が12ρgとなります。全水圧は、P1をP2を足したものになるので、答えは2.1×102kNということで、答えは『 ① 2.1×102kN 』です。
【例題③】過去問を解いてみよう!
こちらは地方の試験で出題された有名な問題です。
【例題③】過去問の解説
まず、板に作用する水圧は台形分布になります。そして、台形分布の時は三角形部分と四角形部分に分けて考えていきます。
ここで、上底が3ρg、下底が4ρgなので、四角形部分の面積は3ρg、三角形部分の面積は0.5ρgで、奥行きを1mとするとそれぞれ大きさは3ρg、0.5ρgと表せます。
そして、全水圧Pは、P1+P2なので、3.5ρgとなります。
水面からP1までの距離は3.5m、水面からP2までの距離は11/3mです。また、水面から全水圧Pまでの距離をLとします。
図A、図Bのモーメントは等しくなるはずですから、図Aのモーメント=図Bのモーメントを解くと値は3.52mとなるので、答えは『 ② 3.52m 』ですね!
【例題④】過去問を解いてみよう!
こちらも地方の試験で出題された問題です。
【例題④】過去問の解説
『深さが同じなら水圧の大きさも等しい』という、水圧の性質が理解できているかいないかを問う問題ですね。
ピンクの点線ラインの水圧の大きさは等しくなるハズ。そして、C部分の圧力をp0とすると、P0+ρAghA=p0+ρBghBという式が成り立ちますので、ρA/ρBの値はhB/hAだとすぐに気づけます。
ということで、答えは『 ② hB/hA 』ですね!
【例題⑤】過去問を解いてみよう!
こちらは国家一般職の試験で出題された問題です。
【例題⑤】過去問の解説
まず、三角形分布の場合は、力は重心に作用するので、作用位置は斜面でも2H/3であることはすぐに判断できると思います。この段階で正解の肢は②か⑤になります。
一応、きちんとhを求めると、sinθ=H/Lより、L=H/sinθであることがわかります。そして、h=2L/3×sinθなので、①②式より、h=2H/3とhの大きさが求まります。
次にPの大きさを求めていきます。
『深さが同じなら水圧の大きさも等しい』という性質から、青矢印の大きさがρgHであることに注意して計算するだけです。
三角形部分の面積が全水圧の大きさなので、ρgH×H/sinθ×1/2×1ということで、答えは『 ⑤ P=1/2×ρgH2/sinθ:h=2H/3 』ですね!
【例題⑥】過去問を解いてみよう!
こちらも国家一般職の試験で出題された問題です。
【例題⑥】過去問の解説
テンターゲートの問題が出たら、まずは公式を思い出します。
この問題の場合は、投影面積ASは、10m2で、図心までの距離HGは2.5mであることはすぐに判断できると思います。
体積Vの考え方が複雑なのですが、Vというのは、図のABCの体積のことです。
なので、扇形OABの体積から、三角形OCBの体積を引き算すれば求めたい値が求まります。
計算すると、ABCの体積は、大体9.1m3になります。
ココまで整理出来れば、後は公式に当てはめて計算するだけです。
PXが、ρgHGASなので、計算すると、250kN
PYが、ρgVなので、計算すると、91kNになります。
そして、tanθはPY/PXなので、0.36くらいになります。
ということで、答えは『 ③ 250kN:91kN:0.36 』ですね!
【例題⑦】過去問を解いてみよう!
こちらも国家一般職の試験で出題された問題です。物理的な知識も必要とする問題です。
【例題⑦】過去問の解説
慣性力の公式は「F=-ma」で、大きさ自体は「ma」です。
m:質量、a:加速度
なぜマイナスがつくのかというと、慣性力という力は加速度と反対方向に作用するからです!
(ちなみに、mというのは、ρ×Vのことで、Vは面積×奥行きになります。)
そこで、水の重さをm、重力加速度をg、加速度をa、垂直抗力をNとして式を立てると、N=m(g+a)という式が成り立ちます。
⇒なので、水圧の公式のρghの普段使っているgの部分を(g+a)に置き換えて、計算すれば答えが求まります。
計算すると、29.4kN/m2となるので、答えは『 ⑤ 29.4kN/m2 』ですね!
なので、実は上昇するエレベーターに乗っている最中に体重を計ると、本来の体重より重くなります。
コメント
難しく感じた方もいると思いますが、今回伝えた5つのポイントをきちんと理解することができれば、公務員試験に出てくる水圧の問題は大体解けると思います。
なので、わからなかった部分はきちんと復習しておくようにしましょう!
では、本日もありがとうございました。
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