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【土質力学:①土の基本的な性質】せんせいの専門土木速習講座

 

【無料講義】土質力学①土の基本的な性質

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【今回のテーマ💡

  • 土質力学:①土の基本的な性質
  • 重要度:★★★★★
  • 難易度:★★☆☆☆

土の基本的な性質』は、ほぼ毎年出題されると言ってもいいくらい出題がある超頻出テーマです。問題の難易度は低いものが多いので、皆さんもココは得点源にしてほしいなと思います。

 

【土質力学:①土の基本的な性質】せんせいの専門土木速習講座

このテーマの問題というのは、こういう問題ですね!

では、この手の問題を解くために必要なポイントから紹介していきたいと思います。

 

ポイント①:土の構成

まず、『土の構成』についての基礎ポイントを紹介していきます。

左の図がある一部の土を切り取った時の土のモデルで、土は土粒子と水、空気で構成されています。Vが体積、mが質量で、aが空気、wが水、sが土粒子、vが間隙を表したもので、間隙というのは水+空気のことです。

この関係の理解がまず一番大事なので、図で覚えておきましょう!
また、空気には体積はありますが、質量はゼロになります。ココも重要なのでおさえておいてください。

 

ポイント②:土の基本的物理量(公式)

次は、『土の基本的物理量の公式』を紹介していきます。

 

土粒子の密度:ρs

まず土粒子の密度は良いですよね。土粒子の質量÷土粒子の体積で求まります。単位は[g/cm3]で表すことが多く、値は大体2.6~2.7[g/cm3]くらいになるのが一般的です。

 

土粒子の比重:Gs

土粒子の比重というのは、『水の密度に比べて土粒子の密度がどれくらいあるか』を比で表したものです。
水の密度が1.0[g/cm3]、土粒子の密度が2.6~2.7[g/cm3]くらいなので、基本的には、土粒子の比重の値は2.6~2.7前後になります。この辺りもおさえておくといいと思います。

 

含水比:w

含水比というのは、『土粒子の質量に対して、間隙中の水の質量はどれくらいあるのか』という割合を百分率で表したものです。

mw/ms×100ということで、よく使うのでおさえておいてください。

 

飽和度:Sr

飽和度というのは、『間隙の体積中にどれくらい水の体積があるのか』という割合を百分率で表したものです。間隙の体積というのは、水の体積+空気の体積のことなので、空気の体積がゼロの時にVw=Vvということで、飽和度は100%になります。

 

間隙比:e

間隙比というのは、『土粒子の体積に対して、間隙の体積はどれくらいあるのか』を比で表したものです。分子が間隙の体積(Vv)、分母が土粒子の体積(Vs)なので、間違えないように気を付けて下さい。

 

間隙率:n

間隙率というのは、『全体の体積に占める間隙の体積の割合はどれくらいなのか』ということを、百分率で示したものです。間隙比の公式より、Vv=eVsなので、間隙率の式を整理すると、(e/1+e)×100と表すことができます。

 

間隙比eと含水比wの関係式

E×Sr×ρw=w×ρsということで、間隙比eと含水比wの関係式についても重要なので覚えておいてください。この式が使いこなせると、土の基本的物理量の問題が少し簡単になります。

これら式は超絶に重要なので、大変だと思いますが、全て覚えておきましょう!(がついている式は比較的よく使う式になります。)後で紹介しますが、これらの公式を駆使して、求めたいものを求めていくといった形になります。

 

ポイント③:土の基本的物理量(密度の公式)

次は、『密度の公式』についてポイントを紹介していきます。

 

飽和密度:ρsat

飽和度Sr=100%の時の全体の密度を『飽和密度』と言います。水の体積(ピンク)=間隙の体積(青)となった時の密度のことです。

 

乾燥密度:ρd

飽和度Sr=0%の時の全体の密度を『乾燥密度』と言います。水の体積(ピンク)がゼロになった時の密度のことなので、当然、水の質量もゼロになります。

 

湿潤密度:ρt

0%<飽和度Sr<100%の時の全体の密度を『湿潤密度』と言います。

 

水中密度:ρsub

地下水下にある土のように水で浸されている場合の土の全体の密度のことを『水中密度』と言います。浮力の分だけ土の重量が軽くなっているので、分子のρwは符号がマイナスになります。

右上の図を見てもらえると理解しやすいと思います。結局のところ、どの公式も『m/V』を計算しているだけです。

 

ポイント④:粒径加積曲線

次は、『粒径加積曲線』についてポイントを紹介していきます。

まず、土を構成する土粒子がどんな割合で混じり合っているかということを粒度と言います。ココで知識としておさえておきたいのが、粒径による土粒子の分類です。0.005[mm]以下の土粒子を粘土、0.005~0.075[mm]の土粒子をシルト、0.075~2.0[mm]の土粒子を砂、2.0[mm]以上の土粒子を礫と言います。さらに、粘土とシルトを細粒分、砂と礫を粗粒分と言います。

そして、ある土の中に、各種粒径の土粒子がどんな割合で混じり合っているかをグラフで表したものが『粒径加積曲線』です。

 

粒径加積曲線の読み取り方

まず、粘土、シルト、砂、礫を粒径ごとに分類して、縦のラインを見ていきます。(図の赤点線部分)

次に、粒径加積曲線との交点のy座標を見れば、その粒径の土粒子がどれくらいの割合を占めているのかが分かります。例えば、この例の土の場合、粘土が5%、シルトが23%、砂が57%、礫が15%の割合で混じり合っていることがわかります。

また、有効径は含まれている細粒分の粒径の程度を表すもので、通過百分率が10%の粒径(重量比が10%にあたる粒径)を有効径 D10と言い、こちらは土の透水係数の推定に使用されています。単位は[mm]で、例えば上記のグラフの場合は、D10=0.02[mm]となります。

 

ポイント⑤:土の基本的物理量(粒度の公式)+砂の相対密度

次は、『粒度を表す係数と砂の相対密度』についてポイントを紹介していきます。

 

均等係数:Uc

粒径加積曲線の傾きを表したものが『均等係数』で、D60÷D10で求められます。そして、傾きがなだらかであれば粒度の良い土ということで、Uc<10で粒度が悪い土、10≦Ucで粒度が良い土と判別していきます。

 

曲率係数:Uc’

また、粒径加積曲線のなだらかさを表したものが『曲率係数』で、上記の式で求められます。

 

砂の相対密度:Dr

相対密度は、砂質土の締まり度合いを表す場合に使用されます。砂の相対密度が0~30%程度はゆるい状態、30~70%程度は普通、70~100%程度は密と一般的に分類しています。

ちなみに、砂質土というのは、粗粒土のうち、①細粒分が50%未満で、②粒径2mm以下と、2つの条件を満足する土のことです。

粒度や粒径によって、砂の間隙比eは大きく変動するので、同じ砂の最大間隙比と最小間隙比の相対値を用いて砂の締まり度合いを判別するということですね!

 

ポイント⑥:粘性土のコンシステンシー

次は、『粘性土のコンシステンシー』についてポイントを紹介していきます。

土が含水比によって固体状態から液体状態にまで変化する性質のことをコンシステンシーと言います。固体から半固体に変わる境界の含水比を収縮限界、半固体から塑性体に変わる境界の含水比を塑性限界、塑性体から液体に変わる境界の含水比を液性限界と言いますが、これは図をそのまま覚えてもらえればと思います。

 

ポイント⑦:塑性指数

次は、『塑性指数』についてポイントを紹介していきます。

先ほどの図にもありましたが、液性限界と塑性限界の差を塑性指数と言い、wL-wPで表されます。自然含水比が液性限界に近いと土はドロドロの状態になっていくわけですから、不安定になります。反対に塑性限界に近いとボロボロのチーズのような状態になるわけですから、安定しているということになります。

 

ポイント⑧:土の基本的性質の重要ポイントまとめ

次は、知識としておさえておいて欲しいポイントについて、まとめて紹介したいと思います。

上記のポイントは、これから問題を解くうえで必要不可欠なものになるので、すべておさえておきましょう!特に問題を解くときには、土の構成を図示して、公式を日本語で意味を考えてみることが大切です。

ポイントがよく理解できてない方もいると思いますが、例題を解く中で知識を固めていってほしいなと思います。
土の基本的な性質を問う問題は色々な種類の問題があるので、今回は過去問を11問、解いていきたいと思います。

 

【土質力学:①土の基本的な性質】過去問を解いてみよう!

【例題①】過去問を解いてみよう!

先ほど紹介したこちらの問題を解いていきます。この問題は地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題①】過去問の解説

今回、w=30、e=0.89、ρs=2.6なので、湿潤密度の公式(下)を覚えていれば一発で答えが求まります。答えは『 ③ 1.79[g/cm3] 』ですね!

伝えたいポイントがあるので、簡単に紹介します。まずこの手の問題が出たらできるだけ状態を図示することを心がけてみて下さい。含水比が30%、間隙比が0.89というのはどういうことかというと、土と水の質量比が1:0.3、土と間隙の体積比が1:0.89ということです。まぁ公式を見てもらったらわかると思いますが、mw=0.3ms、Vv=0.89Vsの関係にあります。そして、密度どいうのは質量÷体積ですから、自力で1.79という値を算出することもできます。
このように土の状態のイメージがきちんとできているとミスを減らすことができると思います。参考にしてみてください。

 

【例題②】過去問を解いてみよう!

こちらも地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題②】過去問の解説

ポイントで紹介した『乾燥密度と土粒子の密度が分かれば間隙比eがわかる』という考え方を使って、まず間隙比を求めていきます。

今回、乾燥密度ρd=1.3で、ρdの公式は『ρd=ρs/(1+e)』です。この式を解くと、e=1であることがわかります。

後は『飽和密度(ρsat)の公式』に値を代入して計算するだけで答えが求まります。答えは『 ④ 1.8[g/cm3] 』ですね!

はじめの方は解けない問題が多くて辛いかもしれませんが、たくさん問題を解いていくと公式の使い方や考え方も身についていくと思いますので、粘り強く頑張っていきましょう!

 

【例題③】過去問を解いてみよう!

こちらも地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題③】過去問の解説

乾燥前と乾燥後で土の状態が違う場合は、きちんと図示してあげることが大切です。

【乾燥前】
乾燥前は、ms+mw=192g
【乾燥後】
ms=158g

ココで、ポイントで紹介した『乾燥前の質量(水+土粒子)-乾燥後の質量(土粒子)=水の質量』という考え方を思い出してください。192g-158g=34gで、水の質量は34gということがわかります。

水の質量と土粒子の質量が分かったので、後は含水比の公式に代入して計算するだけで答えが求まります。答えは『 ② 21.5% 』ですね!

 

【例題④】過去問を解いてみよう!

こちらも地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題④】過去問の解説

『eとwの関係式を使ったら楽に解けるかな』と頭が働けば、この問題は簡単に答えが求まってしまいます。eとwの関係式より、w=20/2.7であることがわかります。ρs=2.7、e=0.4ということで、湿潤密度の公式の未知数が全てわかったので、公式に代入して計算すれば答えが求まります。答えは『 ② 2.07[g/cm3]  』ですね!

【別解】
まず、間隙比が0.4ということは、Vs:Vv=1:0.4ということで、飽和度が50%ということは、Va=Vwの状態にあるということです。これらの関係を整理すると、Va:Vw:Vs=1:1:5ということになります。また、土粒子の密度が2.7ということは、ms=2.7Vs=13.5Vwいうことで、水の密度が1.0ということは、mw=Vwということです。密度というのは質量÷体積のことなので、何か一つの文字に統一して計算すれば答えが求まるハズです。このような考え方で解いても、『ρt=2.07[g/cm3]』と答えを求めることができます。

 

【例題⑤】過去問を解いてみよう!

こちらは国家一般職の令和2年度の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑤】過去問の解説

まず、『間隙率とは何か』という部分を考えてみて下さい。間隙率というのは、『全体の体積に対して、間隙の体積はどれくらいあるのか』を割合で表したものです。

今回は間隙率が50%ということで、これを図示して考えると上記のようになります。Vs:Vv=1:1ということで、Vs=Vvの関係が成り立ちます。間隙比の公式は、『e=Vv/Vs』なので、e=1であることはすぐに判断できます。答えは『 ③ 1.0 』ですね!

もちろん、公式を使っても『e=1』は導き出せるのですが、この手の考え方を大事にしてみて下さい。

 

【例題⑥】過去問を解いてみよう!

こちらも国家一般職の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑥】過去問の解説

こちらは、湿潤密度の公式に代入すれば答えが求まります。

今回は、ρt=1.8、w=25、ρs=2.6なので、計算するとe≒0.81ということで、答えは『 ② 0.81 』ですね!

 

【例題⑦】過去問を解いてみよう!

こちらも国家一般職の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑦】過去問の解説

まず、土の状態を図示すると上記のようになります。含水比が46%ということは、土粒子の質量と水の質量の比が1:0.46ということなので、mw=0.46msであることがわかります。

今回は、ms+mw=875gということで、msを求めるとms=599gであることがわかります。また、全体の体積は問題文よりV=500cm3です。

ここで乾燥密度の公式は、ms/Vなので、それぞれ値を代入して計算すると、ρd≒1.2となるので、答えは『 1.20[g/cm3] 』ですね!

 

【例題⑧】過去問を解いてみよう!

こちらも国家一般職の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑧】過去問の解説

まず、『eとwの関係式』を見ると、不足しているのが間隙比eであることがわかります。

乾燥密度と土粒子の密度が分かれば間隙比eがわかる』ということで、間隙比を求めていきます。2.7/(1+e)=0.9ということで、e=2だとわかります。

あとは、『eとwの関係式』に値を代入すれば飽和度が求まります。e=2、ρs=2.7、w=60、ρw=1を代入すると、Sr=81%ということで、答えは『 ③ 81% 』ですね!

 

【例題⑨】過去問を解いてみよう!

こちらも国家一般職の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑨】過去問の解説

まず、塑性指数は、『IP=wL-wP』で表されます。そして、液性指数というのは、『(自然含水比-塑性限界)/塑性指数』で表されます。

ココをきちんとおさえていれば、後は公式に代入するだけで答えが求まります。答えは『 ② 0.62 』ですね!

 

【例題⑩】過去問を解いてみよう!

こちらは地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑩】過去問の解説

先ほど紹介した『粘性土のコンシステンシー』と『塑性指数』のポイントをきちんとおさえていれば簡単に答えを判別することができます。

【A】
横軸は含水比です。
【B】
塑性限界は塑性状態と半固体状態の境目です。
【C】
塑性指数は、『液性限界(wP)-塑性限界(wL)』です。
【D】
塑性指数は粘土分が多い土ほど大きくなるということは知識としておさえてください。
【E】
正しい記述なので、そのまま覚えておいてください。ちなみに、コンシステンシー指数は1に近づくと安定、0に近づくと不安定な状態と言えます。

答えは『 ④ D:大きく 』ですね!

 

【例題⑪】過去問を解いてみよう!

こちらも地方の試験で実際に出題された問題です。

 

【例題⑪】過去問の解説

こちらは先ほど粒径加積曲線のポイントで紹介した問題そのものです。

グラフの読み取り方を覚えていれば、①の砂が57%あるという肢が正解であることはすぐに判断することができると思います。なので、答えは『 ① 砂が約57%含まれている 』ですね!

ちなみに、礫は15%、細粒分は28%、Ucは20で、Uc’が1.25になります。

図を読み取れるかどうかと、砂やシルト等の境目はどこか、粗粒分と細粒分とは何かを問われる問題なので、少し難易度が高いかもしれませんが、同じような問題が出たときに対応できるように準備しておいてほしいなと思います。

 

コメント

はい、ではコレで『土の基本的な性質』の講義は終わりです。
問題はワンパターンなものが多いですが、慣れと知識が必要なテーマでもあるので、問題演習を重ねて問題に慣れておきましょう!慣れれば得点源になるテーマなので、わからなかったところはきちんと復習しておいてください。では、本日もありがとうございました。

 

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